ドラマに、映画に、舞台にと、役者として縦横無尽に活躍の場を広げる勝野洋さん。その素顔は、実は筋金入りの動物好きです。
 これまでに、犬、猫はもちろん、ウサギ、アヒル、インコ、ニワトリ、馬、猿……と、飼った動物は数知れず。
 現在9歳のバーニーズ・マウンテンドッグ「マウイ」ちゃんをはじめ、愛妻のキャシー中島さんとともにたっぷり愛情を注いでいる“ご家族”を紹介していただきました。

――マウイちゃんはどんな性格ですか?

赤ちゃんの頃は歯をむき出して向かってくるほどやんちゃな娘でした。でも、生後半年くらいの時にドッグトレーナーに調教をお願いしたあとは、人なつこく穏やかな性格に落ち着きました。そのへんは妻に似ており、妻の出身地にちなんだ名前はあながち的外れじゃなかったようです。他の子犬になつかれやすいのもマウイの特長で、散歩しているといろんな犬が寄ってくるんですよ。

――犬は全部で3頭飼っているとか。

マウイの他にチョコラブ(ラブラドール・レトリバーの黒)の「サユリ」と、ホワイトシェパードの「セブン」を飼っています。散歩も一緒に連れていきますが、マウイは大の散歩ぎらいで、リードに引きずられるようにして渋々歩を進めるという具合。原産国のスイスではかつて荷車を引かせていたという犬で、力はあるのですが、俊敏に走り回るようなタイプではないみたいです。その逆がサユリで、しとやかな名前に反して無茶苦茶に走るので、いつもマウイのリードを持つ手と正反対の方向に引っ張られます(笑)。セブンは、昨春知人から頼まれて引き取ったばかりでまだ1歳。目下ドッグトレーナーのもとで訓練中です。

屋外の犬小屋で寝起きし
調教前の愛情交換を万全に!

――ドッグトレーナーに調教を頼もうと思われた理由は?

 勝野家の暮らしの拠点は東京世田谷ですが、御殿場にも家があり、その近くに20年来おつきあいのあるトレーナーがいて、我が家の犬は必ず調教をお願いしています。特に大型犬は、「待て!」と言って待てるようにしつけておかないと、犬にとっては愛情表現でも、人に飛びついて傷つけてしまうこともあります。うちの近所にはお年寄りも多いですし、何かあったら大変ですから。
 訓練中のホワイトシェパードは、引き取った時にすでに生後半年ほど経っていたので、すぐに調教に出すことにしました。するとトレーナーから「預ける前に飼い主の存在を印象づけてほしい」と言われました。そうしないと、家に戻ってもなつかないと。その時僕は地方での舞台を控えていて触れ合える期間は1週間しかなく、どうしたかというと、毎晩一緒に寝起きをともにしました。しかも屋外の犬小屋で! そう、うちでは犬は屋外で飼っているんです。家の中で飼っているのは、妻が溺愛する猫たち。猫のため、犬には入室禁止令が敷かれていまして(笑)。春先の肌寒い時期でけっこうこたえましたが、スキンシップをはかっていたおかげで、御殿場に調教の様子を見に行くとうれしそうに駆け寄ってきます。幼いうちにしっかり愛情をかけてやることがすごく大事なんですね。

犬のような猫が4匹
世話役はもっぱら妻です

――どんな猫ちゃんたちですか?

 ハワイ語で“猫”を意味するラグドールのポポキをはじめ、ラグドールとラグマフィンの交配種が2匹、シャム系の雑種が1匹います。みんな10㎏前後の大きさなので存在感があって、呼ぶと返事をするし、朝は起こしに来るし、なんだか犬みたいです。猫の担当はもっぱら妻。文字通り、猫かわいがりしています(笑)。

――動物に囲まれた暮らしは、ずっと以前から?

 これまでに、ウサギ、アヒル、ニワトリ、インコなど、いろんな動物を飼ってきました。実は僕が最も得意としているのは鳥の扱いで、ピーターパンか白雪姫かというくらいに、話しかけるとちゃんと通じて、手や肩にとまるんです。これ、ホントの話! 御殿場でかつて飼っていたニワトリも、「おいで」と言うと、座った膝の上にポンと乗っかってきたものです。ある日、野生のキツネに襲われてしまいましたが、ニワトリは機会があればまた飼ってみたいですね。次回は高級タマゴを期待して烏骨鶏もありかな(笑)。

――しつけで気をつけていることは?

 噛んだり引っ掻いたりむやみに吠えたりしたら、厳しく叱る。その代わり、ちゃんと言う事をきいたら思いっきり愛情を示してやる。しつけにおいて一番大事なのは、やさしさと厳しさの強弱だと思います。

――勝野さんの動物好きはお父様ゆずりとか。ペットにまつわるお父様の教訓などはありますか?

 犬の素質における父の持論があって、口腔の上壁(骨口蓋)の色が黒い犬は、賢く集中力があるというのです。そして、今までいろんな犬を見てきた僕は、その説は間違っていないと信じるようになりました。  もう亡くなってしまいましたが、クロタという野良犬を飼っていたことがありました。クロタはとにかく主人に忠実で、僕たち家族には思い切り愛情を示してすり寄ってくるのに、見知らぬ人が現れると、人間でいえば鬼のような形相になって威嚇する犬でした。また、僕がお酒を飲んで酔っぱらって帰ってきて、冗談で「守れ!」などと言って寝ると、本当に朝まで同じ姿勢で見守ってくれました。まさに番犬の鑑と言えるすばらしい犬で、クロタの口の中の上壁も真っ黒でした。

やすらぎをくれるペットは
やさしさも育んでくれる

――犬の健康管理で気をつけていることはありますか?

 以前は近くの公園で遊ばせることが多かったのですが、最近は妻と一緒にウォーキングと犬の散歩を兼ね、世田谷の緑道を歩くようにしています。蛇崩川緑道、世田谷観音、松陰神社のあたりはおなじみのコースです。しっかり運動をさせる他には、やっぱり食べ過ぎにならないようにコントロールしてあげることですね。今は、きちんと栄養バランスのとれたドッグフードやキャットフードが売られているので、それを与える以外はなるべく間食させないようにしています。また、信頼のおける動物病院が東京に2カ所、御殿場に2カ所あって、何かあった時はすぐに連れて行って診てもらうようにしています。

――ペットが与えてくれるものとは?

 やすらぎ、この一言に尽きると思います。仕事でどんなに疲れて帰っても、動物たちと触れ合うだけで心が癒され、ストレスが消えていきます。唯一つらい思いをしなければならないのは、死別です。これまで多くのペットを見送ってきました。でも不思議なことに、いつも見送って間もなくそっくりの性格な子と巡り会い、新たな命が我が家を照らしてくれるのです。
僕は、動物との出会いと別れを重ねる中で、人間も成長していけるような気がしています。何より育まれるのはやさしさで、人間本来のやさしさ、すなわち動物本来のやさしさを引き出してくれる。ペットは、そんなすばらしい存在だと思います。

【プロフィール】
勝野 洋  Katsuno Hiroshi
1949 年7月27日、熊本県生まれ。趣味・特技は乗馬、サーフィン、そば打ち。今年で芸能生活37 年を迎え、名バイプレーヤーとして映画・舞台・テレビドラマを中心に活躍。
次女・長男も俳優として活躍しており、芸能活動35 周年記念の舞台公演では親子三人の共演を果たす。

【撮影協力】
adito(アヂト)
(東京都世田谷区駒沢5-16-1)

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