
飼い主と獣医の間には診療契約が成立していると考えられます。そして診療契約は準委任契約となり、民法の委任に関する規定が適用されることになります。
この契約に基づき、獣医には飼い主に対して診療内容について説明する義務が発生します(民放645条)。また、平成11年には日本獣医師会が「インフォームド・コンセント徹底宣言」を発表しています。インフォームド・コンセントとは「説明責任を果たし、飼い主の同意を得ること」を表します。
Q5(カテゴリー「ペットショップ」)では、ペットホテルに預けた場合のペットホテルの責任を書きました。ホテルの場合には有料ですので、善管注意義務を負いますが、今回のケースでは、無償ですので、善管注意義務までは求められずに、「自己の物に対すると同一の注意義務」を負うにとどまります。つまり、友人が自分の飼っているペットと同じような注意を払っていたにも関わらず、けがを負ってしまった場合などは、その責任を追及することはできません。
まず、前提として獣医と飼い主の間には診療契約が成立していると考えられ、その契約の遂行に当たって、獣医は「善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)」を負うことになります。
善管注意義務に違反して、手術ミス等が合った場合には、債務不履行ということになり、損害賠償責任を負うことになります。
同意書にサインをしたということは、万が一ミスがあって損害賠償を請求するようなことになったときに、その損害賠償請求権を放棄するものだと捉えられます。しかし、手術前にどのようなミスが発生するか、そしてそのミスでどんな損害が発生するかは予想することが困難ですので、同意書の効力としては無効になる可能性が高いと思われます。
また、獣医と飼い主との間では、知識の違いや立場の優劣などもありますので、このような同意書は不当と言えます。ペットの手術での同意書ではありませんが、人の医療行為に関する同様の同意書の効力が争われた件では、「手術の結果について一切の意義を述べない旨の契約書は無効」という判例が出ています。
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