平成19年3月米国において、有害物質(メラミン)が混入したペットフードが原因となって多数の犬猫が死亡しました。6月にはメラミン混入のフードが我が国で輸入販売されていたことが判明し、ペットフードの安全性に対する不安が高まったことは皆さんもご存知のことと思います。これを受けて同年8月、農水省と環境省が、有識者によるペットフードの安全確保に関する研究会を設置し、ここでペットフードに対する法規制の導入が必要との方向性が示され、平成20年6月「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」が成立、公布されました。

この法律により、今年の6月からペットフードの輸入業者または製造業者は、届出が義務付けられることになり、また12月からは定められた成分規格及び製造方法に合わない犬猫用ペットフードの製造、輸入または販売は禁止され、原材料名・賞味期限・原産国名等の表示が義務付けられることになります。人の場合は「食品安全基本法」のもとに食品の安全性が確保されていますが、今回の決定でペットフードに関しても有害物質などが混入したものが流通した場合には、法のもとに廃棄、回収などの必要な措置がとられるシステムが出来上がったわけです。

このような経緯でペットフードの安全性については一応確保されたましたが、さて食餌内容という点について考えてみるとどうでしょう? 犬や猫もスローフードという考え方から、ペットカフェでは犬猫用のメニューが用意され、新鮮な肉や野菜は人間だけのものではないという考えが少しずつ浸透してきています。ペットフードの普及した現在、フード以外の食事はダメという意識が私たちの中に少なからずあったかと思いますが、いまや家族の一員となった犬猫に、ドライフードをただ毎日与えるだけで本当に大丈夫なのかと疑問を持つ飼い主さんが増えているように思います。

もちろん手軽にバランスのとれた食餌を与えることができるのはドライフードです。しかし、ドライフードと調理食(米+肉+野菜)で糞便量を比較した実験では糞便回数、糞便重量ともにフードのほうが多いという結果が出ています。糞便量の多少は食餌内容の可消化率が影響するわけですが、この結果はすなわち調理食のほうがドライフードだけよりも消化が良好で、腸管の疲労が少なく体にやさしいということです。犬猫の寿命の調査の中でも色々な食餌の犬猫のほうが長寿という結果が出ています。実際に飼い主さんとの対話の中で、調理食は食べさせてはいけないのか、逆に本当にフードだけでいいのか、といった質問が多くあり、飼い主さんの食に対する意識の高まりを日々の診療の中で感じています。

  • 梶原動物病院
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