第5回 私と犬の幸せだより

2016/07/11
捨て犬から生まれた姉妹犬の小梅と花は今から8年前に松山市内のみかん畑で保護されました。
その後、新しい飼い主となる井澤さん(千葉県在住)と出会うきっかけとなったのが、認定NPO法人えひめイヌ・ネコの会による「里親探し」でした。今もこ の2頭と暮らす井澤さんに当時の心境や姉妹犬との暮らしについてお話を伺いました。

― 赤い糸で結ばれた家族たち ―

第5回 私と犬の幸せだより平成14年4月26日、遠く離れた愛媛から姉妹犬が我が家へやってきました。初めて会った時、子犬というには少し大きく、成犬というにはまだ幼い小梅と花 は身を縮め、お互いをかばい合うように震えていました。私達のことが怖くて仕方がないのに、一生懸命尻尾を振り、手や顔を舐めてくれました。姉妹には自分 達の置かれている状況が少なからず分かっていたようです。どんなに人が怖くても、いい子で気に入られなくちゃいけないと言い聞かせているような姿が不憫で 涙が出そうになりました。同時に命を預かる責任の重みを再認識しました。初めて姉妹を見たのはインターネットの画面の中でした。まわりに写っている白い毛 のムクムクコロコロ、ニコニコした子犬達の中で、怒っているようにムスッとしたこげ茶の子と、我関せずの無表情のベージュの子が目に留まりました。笑って しまうくらい子犬という表情ではありませんでした。犬を飼うつもりがなかった私はそのままページを閉じました。

ずいぶん経ち「あの子達は貰われたろうな」と思いながらホームページを見ると、まだあの2頭は残っていました。それから数日、頭から離れず1日に何度も ホームページを見ては考えていました。1度も犬を飼ったことがない私に果たして2頭も飼えるだろうか? 犬の病気のこと、しつけのこと、毎日のお散歩のこと、そしてそれが10年以上続くこと。わざわざ遠い愛媛からもらわなくても、近くの愛護団体でもいいので はないか。
いろいろと考えましたが、目の前に掴めと言わんばかりの赤い糸が見えたような気がして迷う気持ちはあっという間になくなり、里親希望に申し込みをしまし た。NPO法人えひめイヌ・ネコの会さんと何度もメールでやりとりを交わし、ついに小梅と花の無愛想姉妹が我が家へ来ることになりました。

第5回 私と犬の幸せだより小梅と花はスクスクと育ち、次第にお転婆ぶりを大いに発揮してくれました。その無表情さとは裏腹に、実に沢山の笑いを家の中へ運んでくれました。すれ違う 人に「2匹だと躾が大変でしょう」とよく言われますが、お互いが真似をしあうので1頭と同じですし、競い合うように吸収していつの間にか覚えていってくれ ます。 大好きな人以外は皆怖いという極端な好き嫌いで、臆病で無愛想で頭がカチカチの頑固者の姉妹ですが、十分過ぎるほど毎日癒やされています。健やか でノビノビと過ごし、いつも泥だらけで駆けずり回る姿を見ているだけで幸せな気持ちになります。
私と同じように、小梅と花も幸せいっぱいの毎日を送れているか聞いてみたい時がありますが、私達家族にしか分からないようなささやかな笑顔を向けてくれる と、その先に答えが見えてくるように思います。毎日笑わせてくれて、幸せをくれる小梅と花に感謝の気持ちを忘れず接していきたいと思います。
これから犬猫を飼おうと考えている方には、ちょっと選択肢を広げ、殺処分を免れた犬猫の家族を求める赤い糸に目を向け、たぐり寄せて欲しい。これが「犬は ペットショップで買うもの」と信じて疑わず、ボランティアさんから犬を迎えるとは夢にも思わなかった私の願いです。

取材協力

NPO法人えひめイヌ・ネコの会
〒790-0902 愛媛県松山市石手白石118-3
TEL:089-977-7564
http://ehimeinuneko.com
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